小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

トーン・テレヘン 長山さき訳『きげんのいいリス』-疲れた心に、広がる森。-


機嫌がいいことにこしたことはない。

トーン・テレヘン 長山さき訳『きげんのいいリス』(新潮社 2018年)の話をさせて下さい。


表紙可愛いんだよなぁ。

【あらすじ】
きげんのいいリス、引っ込み思案のアリ
夢見がちなゾウ、考えることの多いカブトムシ、自分がある日突然怖くなったライオン・・・。
森にすむ個性豊かな動物達を切り取った掌編集

【読むべき人】

・毎日にちょっと疲れている人
「星の王子様」「絵のない絵本」等のような哲学的な掌編が好きな人
・哲学者
・あるいは絵本作家
・あるいはロマンチスト

【感想】
なんとなく家でニートしていてもあれなので、
外でニートしようと思い図書館に向かった。
入り口近くの「新着図書」の中に見つけたのがこの1冊。
このシリーズのハリネズミの本がベストセラーになったのは知っている。
なんか「元気になる」とか書かれていたような覚えもある。
でも、どういう本なんだ。
自己啓発書っぽくもないし、
ましてやスピリチュアルでもなさそう。
手に取った。


物語のイメージはこんな感じ。

掌編集だった。
2ページから5ページほどの掌編が詰まった本。
本編は140ページ弱で、少し薄め。

内容は・・・「あー・・・なるほど」下ネタじゃない
星の王子様を思わせるかのような内容。
あらすじとしては、個性豊かな動物達の日常のシーンを切り取った、って感じ。
だからある話ではリスアリが主人公だし、ある話ではゾウ
ある話ではカブトムシ、そしてある話ではタコまで。
けれどもどの動物もみんな個性豊かで同時にとても純粋
だから僕等が普段悩みもしないことで悩むし、
トラブルがあっても大きい心で見逃すし、
自分の誕生日がやたら気になったりする。
そういった動物達の姿は、
疲れた人間の心にしみじみしじみ染み渡る。

僕がこの中で特に好きなのは
10 pp.31-35の話かな。
アリが頭が重いと悩んでいるんだけれど、
それは「知りすぎた」から、っていう話。
これ現代社会に生きる僕達にも言えることかな、と思っていて。
例えば僕達はしばしば、
自らの将来、日本の政治、仕事、恋人、家族、諸々で悩んだりするけれど、
それはすべて「知りすぎて」いるから。
たまには忘れて生きることも大事なんじゃないか、
ってことかなーって思ったんだけど。
どうなんだろうね?
ちなみに最後も好きかな。この話。
僕もハチミツべろべろするだけで生きていけたらなぁ。
まぁ実際べろべろ生きたところで幸福ではないんだろうけど。

あとは・・・36 pp.101-105の話。
手紙の話なんだけど・・・やっぱ最後の友達だから通じ合える、みたいな感じいいよね。
ちなみに僕も今でこそ何も書かないけれど、
小6の時はひたすらに友達と文通をしていた。
そこにはオリキャラであったり
くだらないことであったりがつらつら書かれている。
なんとなく相手のオリキャラそう「琉波」(りゅうは)ちゃんが好きだった。
他にもスカーレットとかいたようだけど・・・。
実はいまでもとってあるけれど、
相手はとっていてくれてるだろうか。
捨ててるだろうなぁ。
今頃その友達がブログで黒歴史つらつらさらしてること知ることあろうか。
いやないだろなぁ。


上記の2編は題名にもなっているリス、とアリのコンビが主人公の話。
でも僕の推しキャラは、ゾウかな。
夢見がちですぐぶつかって迷惑かける。
わぁ・・・まるで僕みたい。
でもチャーミングでまっすぐで・・・かわいい。

以上である。
なんとなく手に取った本だったけど楽しく読めた。
すらすら読める文章であるので1時間もたたなかった。
けれどこれは多分何回も読む本なんだろうな・・・と思う。
何回も読んでこそ、その力を発揮するみたいな。
スルメ曲ならぬスルメ本。
また機会があれば読みたいかな。
あと、そうハリネズミの方もね。