小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

PEACH-PIT『ワンダリングワンダーワールド1-2』-ワンダリングキャラクターファッションショウ-


ゾンビローンの再来にはならなかったか。

PEACH-PIT『ワンダリングワンダーワールド1-2』(KADOKAWA 2015年)の話をさせて下さい。



上:1巻。主人公サイが表紙。
下:2巻。イブキが表紙。

【あらすじ】
日本最大・最高のテーマパーク、ワンダリングワンダーワールド。
そこは日本中の【陰鬼】を封じるために作られた、鬼輪だった。
キャストはすべてその輪を守るための通称・オニワ番・・・!!!

一方、修学旅行で初めてワワワに来た草壁鉄心(くさかべてっしん)。
しかし彼は陰鬼を集める「ワンダー」の才能があるようで・・・!?
夜の遊園地を駆け巡る、ノンストップアクション!!!

※酷評気味の記事になります。
本作が好きな人は別の記事にお進みください。

【読むべき人】
ZOMBIE-LOANローゼンメイデンしゅごキャラ!
PEACH-PIT先生の本を読んできてて、
最近の先生の新作が気になる人
PEACH-PIT先生を読んだことない人は、
これ読むならまずZOMBIE-LOAN読みましょう。
一時代前感が否めませんが、それでも面白いと思われますデス。

【感想】
イマイチなのである。
ほんっとう、イマイチ。
ただ編集も作者自身も、作者の良さを存分に理解している。
ただ、その良さだけで無理矢理話を進めてしまった感じがする。

PEACH-PIT先生の良さといったら、キャラクター。
キャラクターのコスチューム、性格、言葉遣い。
全て斬新でけれど統率がとれていて、
そういったキャラクター達が今まで数多くのオタクたちを魅了してきた。
例えば、しゅごキャラ!ほしな歌唄
まず歌唄、と書いてウタウタでなくウタウ、と読ませるセンス。
そして今までありそうでなかったブルツインテール
大人っぽい容姿と裏腹のちょっと子供じみた言葉遣い、
そして歌姫という設定。
全てがバランスよく、
熱い歌唄信者を漫画界だけでなく、
現実にも数多く生み出した。
てか僕がそうだった。
他。
ローゼンメイデン』。
あれは7人の薔薇乙女全員キャラクターが洗練されているからこそ、
長年愛され続けている、というのもあると思うんだけど・・・。
一人上げれば、
僕の推し、蒼星石なんかも非常に優れたキャラクターだと思う。
まずソウセイセキって。
ネーミングセンスがもう他に例を見ない。
半端ないって!!女の子に、ってつけれる!?つけれへんやん!!普通!!
そして目は緑赤のオッドアイ男装ドール
武器は庭師のハサミ。
全てが他と被りない、
且つ初めて見る斬新さ。
新発見で詰まったかのような素晴らしいキャラクターだった。

ところが本作は・・・。
残念ながら、全員どこか見たことあるようなキャラクターばかり。
主人公のサイ、
どうしても西義之ムヒョとロージーの魔法律相談事務所ムヒョと被る。
他、加藤和恵青の祓魔師とか。
僕だけかな。
あと等身ひっちゃかめっちゃかだったのやめてけれ。
もう一人の主人公・草壁。
まんま、ローゼンメイデン後半出てくる大学生になったジュンやんけ!!と。
差別化を図るために(そしてストーリー本編と絡ませたかったために)
掃除が好き、とってつけたような趣味もつける始末。
ヒロイン、イブキ。
この子が一番統率がとれていない。
性格・ルックスは先述したほしな歌唄と被るし、
性格もこれといって新しいところはない。
「僕」「ぼく」「ボク」・・・一人称くらい統一してくれ。多重人格者か。サイコなのか。
ルックスも・・・いまいち。
僕という一人称にどうも、合致しない。
ショートヘアの方が良かったんじゃないか。

そして、この3人1組、みたいなニュアンス。
ZOMBIE-LOANまんまやんけ・・・。

他にもどこかで見たことあるようなキャラクターばっかり。
紙屋敷=ヤスダスズヒト夜桜四重奏恭助
郡司=PEACH-PITしゅごキャラ!空海
一重=PEACH-PITZOMBIE-LOAN犬走全。
リック=加藤和恵青の祓魔師メフィスト・フェレス
のぞみん=PIEACH-PITしゅごキャラ!スゥ・・・。

なんだか筆者の過去作中心に、
「売れるキャラクター」をすべて搭載したかのような・・・。

そういうイメージ。

彼らが決して、魅力ないキャラクターとは言わない。
カッコよくカワイイ部分はある。
ただ、二番煎じが初代を超えることなんて、まず、ない。
彼等は初対面じゃない。
どこかで見たことある。ありすぎる。
だからどうもキャラクターに惹かれないんだと思う。



また、そういったキャラクターをバンバンバンバン出しているだけの印象。
キャラクターファッションショーを見ているような感覚。
普通1巻って、
主人公の掘り下げとか
キャラクターの関係性を強化するエピソードとか、
そういうのいれるよね?
そういう物語づくりの基本や
キャラクターの深堀が一切せず、
新キャラばんばかだす。

例えば同氏の人気作、ローゼンメイデンだって、
一巻は真紅、ジュン、雛苺、ちょっと水銀燈・・・くらいしか出てこなかった。
設定だってちら見せ。
今作はローゼンメイデンで例えれば、一巻で薔薇乙女7人全員出しちゃってる感じ・・・。

本作の話に戻すと、
主人公の草壁なんてなんかよく解らんまま死んじゃったし・・・。
1巻は主人公の深堀に徹していれば・・・と思う。惜しい。
もっと言えば、主人公死ぬのも某巨人漫画で見たぞ。

ちなみに、
二花。
このキャラクターだけは魅力的。
他に例を見ないキャラクター。
ツートンカラーの髪に、
今までありそうでなかったオタク口調、
そしてスチームパンク
かつての筆者のキャラクター生成能力を絞り出したかのようなキャラクター。
読んでる感じ、筆者も気に入ってたのでは?



以上である。
キャラクター小説、という言葉があるけれども、
今作はキャラクター漫画、とでも言ったところか。
ただのキャラクターのファッションショーになってしまった。

編集者はきちんと作者の良さを理解していた。
と僕は思う。
けれどその分漫画の基礎となる話の作り方にまで目を配れていなかった。
もしくは大御所相手に口出しできなかった?

実際に、今作は4巻で完結している。
多分打って、切られたんやろなぁ・・・。

最近やはりPEACH-PIT先生はパッとしない。
ローゼンメイデン』『ZOMBIE-LOAN』『しゅごキャラ!3作同時連載していた勢いはどこへやら・・・。
今やローゼンメイデンライフワークに生きる
オバサン漫画家と化してしまった。
僕は「なかよし」あたりにしゅごキャラ!再来となるような作品作ってほしいんだけどな・・。
クギコちゃんとかいう意味の分からない糞みたいな漫画作らせてたから、
もう無理無理なのかしら・・・。


まだスクウェニの漫画が元気だったころのお話。

あとさっきからちらほら言ってる、
PEACH-PITZOMBIE-LOAN』(スクウェア・エニックス 2003-2011年)
こちらおススメ。
Gファンタジーに連載されていた作品なんだけど、
まぁ面白い。
キャラクターも花丸。
後半少しダレたけど、
あと締め方が定番で糞みたいだけど、
13巻というなんかいい巻数で終わっているので、
新品でワンダリング買うよりは・・・
とりあえずBOOKOFFで、
こちらの1-2巻あたりを購入することを強く、勧める。
強く。