小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

映画「ちょっと今から仕事やめてくる」-観客に届けたいメッセージがある。-


ブラック企業で病んでる若者全員に向けて送るメッセージ。

「ちょっと今から仕事やめてくる」(監督:成島出 制作:シネバザール 配給:東宝 主演:福士蒼汰工藤阿須加の話をさせて下さい。



【あらすじ】
ブラック企業の営業職として勤める青山隆工藤阿須加)。
毎日会社に行っては部長吉田鋼太郎)にどやされる日々。

就活に失敗した俺は、ここに入社が決まった時嬉しかった。
嬉しかったはずなのに・・・。


電車のホームから、ふらりと倒れ込もうとした彼を助けたのは
「ほら!!覚えてるか!?ヤマモトや!!!」
小学校の時の同級生を名乗る青年、ヤマモト福士蒼汰)だった。

「希望っていうのはなくならないよ。見えなくなるだけだ」
冒頭より ※うろ覚え

【見るべき人】

ブラック企業に勤めて追い詰められている
ブラック企業が原因で病んでいる
でも、やめれない人

【感想】※ストーリー部分にネタバレ有
なんか去年やってんなと、「王様のブランチ」見て知ってはいたんですが、
まぁそんな気になる映画でもなかったし、
見に行かなかったんですよね。普通に。
で、今ハチミツ宜しくぷーさんの僕は
そういえばこんなんやってたな、の軽い気持ちで
WOWOWでWOWOWして見た次第。

いや、かなり良い映画だなと思いました。
というか、メッセージ性が強いんですよね。
多分、制作側はこの作品を映画化してもそれほどヒットはしないと、
思ったと思うんですよ。日本語。
それでも、この映画を今の社会に出す必要があった。
この映画を通じて発したいメッセージがある。
そういう熱い・・・というよりはしなやかな気持ちが伝わるような作品です。
この映画を見た人が、より良い人生の選択をできますように。
みたいな。
エンタメ先行というよりは、そういうメッセージ先行な映画だと思います。
まぁ映画としてもまぁまぁ面白いんですけど。

以下、ストーリー、演出、演者簡単に。
ストーリーではネタバレしてます。
すみません。



ストーリー:★★★★☆
良かったと思います。
基本的に無駄なシーンがないです。
優れた脚本なんだと思います。

ヤマモトって原作では正体不明のまま終わるんですね。
でもその正体を明らかにして、後半ルーツに迫っていく、っていう改変は良改変ですね。
ブラック企業のシーンがこれ以上続くと胸がえぐられるのと、
ヤマモトの存在が正体不明だと
やっぱりフラストレーションたまると思うんですよね。
映画だと。
だから、仕事やめた後にも時間を割いてヤマモトの正体に迫っていく感じは良かったです。
施設の静謐さと海の美しさに癒されつつ、
最後の謎を回収する。
うんやっぱ
あの時居酒屋で飲んでいたのは・・・?カフェにいたのは・・・?サッカーしてたのは・・・?
と、実際に見た後に幽霊でしたーだとはぁぁぁあああ!!???ってなりますよ。
ましてや福士蒼汰きゅんだし。
若干無理あるな感はありましたけど、
それでも彼の正体をしっかり提示してくれたのは良かったと思います。

僕は普通に、ヤマモトを幽霊と思わされるのにはやられましたね。
僕普通に「あ、幽霊なんだー!!そっかー、天使からの使命からきてるのかー!!そっかー、ドクロちゃんだったかー!!」とか思ってましたからね。
メールの文面「天使」の伏線も地味に回収してるのも良かったですましたね。
ただ強いて言うなら「天使」の伏線があまりにも地味すぎるので・・・
簡単に「天使」という言葉が入るシーンがもう1つあればよかったかなぁ。

あとやっぱこの脚本は観客を楽しませる、よりは観客に届ける!!っていう話なんですよね。
ブラック企業で追い詰められて自殺するくらいなら、
思い切ってやめようぜ!!っていう。
そういったメッセージが一貫してたのがやっぱ素晴らしかったですね。

ちなみに僕は冒頭出てくるこの言葉にちょっとぐっときましたね。
「希望というのはなくならないよ。見えなくなるだけだ」
※うろ覚え



演出:★★★★☆
分かりやすくて良かったですね。
仕事で息が詰まるような日々と対照的な、
南の島での日々。
仕事辞めて南の島!!!はちょっと過剰な感じもしますが、
その分観客の心にインパク与えられたんじゃないでしょうか。

何気に、ヤマモトのの色も法則性がありそうですよね。
例えば初めの飛び込もうとしたシーンとか、
青山の気持ちが落ち込んでいるときは紫色が多かった気がします。
でも休日はやべぇほどの花柄であったりだとか。
青山のネクタイの色もそうですし。
ちょっとここのこだわりは良いですねー。

ブラック企業も基本すっごいリアルに描いてるんですよね。
もうとにかく部長が怖い・・・怖いよう・・・なんですけど
見ていて胸が苦しくなるというなんつーか。
それでも、やめることを決断した後の
後半く「ふふっ」てなるところがあったのは良かったですね。
例えば社訓「上司の指示は神の指示!!!」とか、
仕事辞める旨を伝えた途端、部長がどこかコミカルに見えるところとか。
(そこは吉田さんの演技によるところが大きいのかもしれませんが)
前半はすごくリアル、でもやめると決意した後半はちょっとふふっ、のバランスが絶妙だったと思います。

あとイケメン二人を起用したのも良かったです。
別に僕腐女子じゃないんですけど、
イケメンが二人楽しそうにしてるの見ると眼福なんですよね。
腐女子じゃないんですけど「おっ・・・・今のは(o^―^o)ニコ」とか思うんですよね。
べ・・・べつに腐ってないですけど「そんな休日わざわざアパートにけしかけてくるなんて///」とか
く・・・くさってないですけど「ほう・・・」とか思ったりするわけです。
見ていて盛り上がるわけです。
そこらへん全部良かったですねえ!!!!

あと・・・後半出てくるヤマモトが鏡を割るシーン。
あそこが一番ぐっときましたね。
純の自殺を抽象的に表すのと同時に
優の苦しむ人を救えない自分に決別したい葛藤
一気に伝わってきて・・・。
一筋の汗が目から・・・ほろり。



演者:★★★★★

ストーリーの部分で基本的に無駄なシーンがない、と書いたんですけど、
同じく無駄な役がない。
配役の数もきちんと計算されていますね。

ヤマモト:福士蒼汰
適任ですね。
こういうあほな感じの役は、
どこか少年らしさを残した福士君に凄く合ってたと思います。
あとやっぱオーラがありますね。
ヤマモトが来た途端いいことありそう!!みたいなオーラがプンプンプププンしていて良かったです。
華があるというかなんというか。
まぁ・・・若干演技がわざとらしいなというところもありますが、
でも懸命にお芝居されていて良かったです。

青山隆:工藤阿須加
上手いですね。演技派です。
ブラック企業どんどん心が削られていく感じ、
土下座謝るシーン全てがリアル。
多分観客の中にも思い当たる節がある人は、いっぱいいたのではないでしょうか。
工藤君自身が顔というよりは演技の割合が高い役者だと思うんですが、
今回観客が自己投影できるような演技だったように思います。
あと顔のパーツが大きいので表情が映えますね。

山上守(部長):吉田鋼太郎
ふええええ・・・・・まじでこわいよぉ・・・・・・・ふえええ・・・・・
こわいよぉ・・・・
ずっとおふぃすでどなるんだよぉ・・・・・
そこがもうほんとうにりあるでまじでこわいんだよぉ・・・・
ぶちょうみたいなひと・・・まえのかいしゃにはいなかったけど・・・いっぱいいるんだろうなぁ・・・・
ほんとうこわかったよぉ・・・・
もうみていてむねがえぐられてとちゅうでいったんとめちゃったよぉ・・・
それくらいこわいんだよぉ・・・
えんぎよしださんうますぎだよぉ・・・・
おっさんずらぶみていちゃつくよしださんみてくちなおししないとぼくがやってけないよぉ・・・
なまえそのまんまじゃんかよぉ・・・
まじこわげきこわちょうこわすぎてぜんぶひらがなになちゃったよぉ・・・ふええ・・・

五十嵐美紀:黒木華
スーツがエロいです。
工藤君もリアルなんですけど黒木さんぐうリアル。
もうほんとうそのへんにいるOLっていうか、
黒木さんに似てるOL捕まえて来たんでは?っていうレベル。
話し方が一貫してどこか追い詰められてる感じで良かったなぁ。
スーツがエロイです。
特に尻。


以上です。
見て良かったなと思う良作映画です。
ブラック企業で悩んでいる人全員に見てもらいたいですね。

脚本がやっぱ突出して良かったと思います。
ブラック企業で精神する減っていくならば、もうやめてしまえば?」
「希望は無くならない。見えなくなってしまうだけだ」

楽しませるというよりは、届ける。
見て終わりじゃない、見た後を考えさせる。


ブラック企業で過労死・自殺が横行する世の中で、
この映画を出した製作陣に
「ブラボウ!!!」
言って立ち上がって拍手するやつやりたいですね。