小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

はやみねかおる『虹北恭助の冒険 フランス陽炎村事件』


日本中にはびこる趣味読書野郎を生み出した、戦犯。

はやみねかおる『虹北恭助の冒険 フランス陽炎村事件』(講談社 2009年)の話をさせて下さい。


文庫本より大きいけど単行本より小さい。

【あらすじ】
虹北恭助が日本をたってから早三年半。
お盆にも帰国しなかった彼がフランスの田舎「陽炎村」にいることがわかり、
高校生になった幼馴染・響子は連れ戻しにそこに向かうのだが・・・
村には”ムスティック”と呼ばれる死を招く亡霊の言い伝えがあって・・・
虹北恭助シリーズ第五弾にして最終巻!!

【読むべき人】
・読書が嫌いな子供、そして大人
夢水清志郎シリーズを読んでいた人
・サクサク読めるライトノベルが好きな人

【感想】
講談社ノベルスで刊行されたミステリー。
講談社ノベルス、というのは講談社が刊行する絶妙な大きさのミステリーノベルスで、
西尾維新戯言シリーズ綾辻行人館シリーズが有名。
サングラス探偵・夢水清志郎で有名なはやみねかおる先生が
このレーベルで出したのが今作・虹北恭助の冒険シリーズ。

レーベル自体は大人向け。
だけど元々、元小学校教諭で青い鳥文庫などで児童文学を中心に書いている作家なので、
内容は小中学生が読んでも面白い内容となっている。
ちなみに僕の通っていた中学にもこのシリーズが2冊くらいあって、
1巻は借りて読破した覚えがある。

もう手にすることはないだろうなー・・と思っていたけれど、
入院先の病院でたまたま見つけ、
懐かしい!!と感激する気持ちとともに手に取った。

今作の良かったところは、
まぁまず物凄く読み易い。
約350ページあるんだけれども滞ることなくサクサク読める。
惑わされることなく深く考察する必要もなく
ページをとめどなくめくればいいその感覚が気持ちいい。
また、キャラクター。
特にメインの二人、恭助響子ちゃんが魅力的。
さくさく解決する糸目の探偵少年・恭助と、
そんな彼を気にしつつもばしばし叩きぐいぐい引っ張るJK・響子ちゃん。
関係が気持ちいい。
また、伏線やトリックを全て綺麗に回収しきっている。
最後のページまで伏線回収に充ててるのが気持ちいい。

そう、とにかくこの作家の作品は読んでいて気持ちいいのだ。
その気持ちよさをベースに、ハラハラやドキドキを与えてくれる。
だから僕等は夢水清志郎を次々と読破し、
怪盗クイーンの分厚さに勇気をもってとりかかったんじゃなかったか。
はやみねかおる先生は数多くの子供達に読書の習慣を与えた、戦犯なのである。

逆にちょっと悪かったところは、
今回犯人が所謂「容疑者」の中にいない。
確かに思えば、あるシーンで伏線ははっていたんだけれども
そういった物語にストレスを感じる人は今巻を読むことを勧めない。
あとまぁ・・・別に「フランス」じゃなくても良かったかな。

以上である。
久々に読んだ虹北恭助シリーズはサクサク読めて楽しかった。
ちなみに今巻は「最終巻」とあるが今巻から読んでも差し支えない内容となっている。
というか夢水もといクイーンもとい、この作家の作品は大抵そうだ。
恐らく少しでも多く子供達が手に取りやすいよう、作者の配慮と思われる。

はやみねかおる
やはりこの作家の作品は、純粋におもしろくて楽しい。
ちょくちょくこれからも読み続けたい。


はやみねかおる先生の主人公はたいてい女子が多い。
もしかしてロリコン

後彼の作品で最近僕が読んだのはこちら。
はやみねかおる『モナミは世界を終わらせる?』(KADOKAWA 2014年)
JKの痛快ミステリだったな。
続刊の角川文庫化・・・はよ。