小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

多木浩二『絵で見るフランス革命』-絵の方が多い新書。-


カリカチュア

とは、人物の性格や特徴を際立たせるために誇張や歪曲を施した人物画のこと。(wikipdiaより)
まぁ簡単に言うと「悪意(もしくは敬意)を込めて作るデフォルメした人物画」
であり、
かつてヨーロッパでも新聞やチラシ等大衆に刷られる印刷物に多く出て来てたんですよ。

じゃぁフランス革命期においては、
国王ルイ16世と女王マリー・アントワネットはどのような姿て描かれていたのだろう?
写真がない当時、民衆にはどのようなカリカチュアされた姿で伝わっていたのだろう?

多木浩二『絵で見るフランス革命』(岩波書店 1989年)の話をさせて下さい。



【概略】
首から下を四つ足の動物で描かれる国王夫妻、革命過激派(ジャコバン派)が当時こぞって被った赤い三角帽子、
革命家マラーを殺害した若き女性:シャルロット・コルデー、そして革命の終焉とともに現れた絶対英雄ナポレオン
・・・等々。
激動のフランス革命と文化史を繋げる一つの視点。

【読むべき人】
フランス革命と美術に関心がある
カリカチュアに関心がある人
革命期の文化史に関心がある人

【感想】
フランス革命期の絵画やカリカチュアなどを集めて、
当時の人々の思想や風潮、生活等をとらえようとする試みである。
その絵の数は物凄い。新書サイズで白黒ではあるが、掲載されている数は多い。
また幅も広い。民衆に向けて描かれたカリカチュア人権宣言について書かれた石板ダヴィッドやグロ等著名な画家の作品等満遍なく掲載されている。
新書ではあるが、文章よりも絵画が掲載されているページの方が圧倒的に多い。

ただ、この本短くとも文章がとにかく難解である。
読んでいて全然何を言っているのかわからない。いやまじで。
30年前の本なものだから、まぁ美術の一般車向けの本なんてその存在自体が珍しかったんだろうな。前例になる著書字体少なかったのではないか。
あと、本書の著者がどうやら経歴見ると本書が一般向けの最初の著書の様子。まぁ・・しゃーないわな。編集者も不慣れだったんだと思う。現代では当たり前である、文中に出てくる絵画の番号振りもされていない。
この本の後、2011年に亡くなるまで様々な本を書いているけれども、そちらは書き慣れて幾分か読み易いのかもしれぬ。
とにかく文章読みづらい。でも絵は面白い。
そんな本。



ちなみに、僕が一番面白いなーと思った章はこちら。
「10 革命と女性」(pp.181-200)。
革命期における女性の肖像の変化について述べられた章。
やっぱ革命初期における女性の衣装はどこか貴族的なんですよね。
そこからだんだんと古代風でもあり現代風でもある薄手の衣装に変っていく様は見ていて興味深い。
また、文章の方も相変わらず難解ではあるが
革命期において姿が変わりゆく結婚と離婚女性の権利等の話が出てきてそちらも非常に面白かったです。
この章の他には「三角帽子」「王の処刑」「三色旗をはじめとするシンボル」「ギロチン」等。
物事ごとに組まれているので、関心のある章から読み始めるのも良いのかもしれない。

以上である。

プラド美術館展行ってから高まり続けている僕の美術欲を満たすにうってつけの本であった。
これだけの数の作品を新書サイズで一冊にまとまっているのは、ありがたい。
ずっと手元に置いておきたい。
そんな新書であった。


同じ古本屋で同じ日に買った。
所謂同期