小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

「もらとりあむタマ子」-ニートッ!阿鼻共感の嵐ッ!!-


今見とかないといつ見るんだと思った。

もらとりあむタマ子」(監督:山下敦宏 主演:前田敦子 配給:ビターズ・エンド)の話をさせて下さい。



【あらすじ】
東京の大学を卒業して就職活動もせず実家に戻って来た、タマ子
実家では父親が一人でスポーツ用品店を商っている。
タマ子は就職はおろかバイトもせず毎日漫画を読んでだらだら過ごしているが・・・
彼女が一歩を踏み出すまでの1年を描くニート・ガール・ドラマ。

【見るべき人】
ニートしてる人
ニートしてる人の父母
・何も考えずサクサクっと1本映画が見たい人(本作は78分と短編)

【感想】

いつ見るの?
今でしょ!!!!」
24のニートの中の林修が荒ぶった!!!

ストーリー:★★★★☆
ニートのタマ子の日常をただ淡々と描く、というストーリー。
もともと短編の映像を組み合わせた作品であるため前後における脈絡・起伏が無いけれど、
そこがニートの何もない毎日を魅せるのに適切であったと思う。
退屈な毎日に起伏も脈絡もない。
あるのは淡々とした暦上の毎日だけ。


ただまあその分・・・ちょっと退屈っていうのはあったけれど。
でも最後の突拍子もないところからタマ子がある決意をするのは良かった。
行動はいつも突拍子。
あるのは思い付きと突如降って来たプラス思考だけ。

多分、「田舎のニートの女の子を撮る」というのが制作側の意図なのではないかな。
十分リアルで、良かったと思う。
前半のよその人に対してちょっと声を上ずらせてよいこぶるところとかニートなのに)
オーディションに応募して思い切って自分を変えることに賭けるところだとかニートだから)
親が突如買ってきた高い贈り物への嫌悪感・反発とかニートの自分が嫌いだから)
ニートの僕にとって「わかるー」「わかるわー」の連続。
阿鼻共感の嵐って感じ。
それで最後の決意だもんなぁ・・・。
ニーとしてる人は是非見た方がいい。
ちょっと、響く。

演者:★★★★★
主演は元AKBセンター、あっちゃんこと前田敦子
演技はなかなか良かったと思う。
ところどころ動作がオーバーすぎるところが目立つけど、
ニートの等身大の女の子を十分演じられていた。
あと・・・顔を気にしない演技も良かった。
演技が下手なモデルやアイドルに共通するのは、「殻を破れない」「自分が可愛く映ってないとヤダ」っていうのが絶対あると思うんだ。まぁあんま映画見ないけど。
でもそこらへんあっちゃんは全部吹っ切れてるというか・・・。顔映り悪いところもちょくちょくあるし、髪もぼさぼさで大股で不機嫌そうに歩ける。
だから見ていて心地よい。逆に可愛い。

父親役の康すおんさんもいい演技している。
娘の扱いに困る50代のシングルファザーが・・・なんかすっごい。
ため息のつき方だとかタマ子の呼び方だとか、演技に隙がない。
いい俳優さんだなーと思った。

この2人の演技がとても良かったので、ちょっと僕は今でもこの作品から抜け出せない。
甲府で2人スポーツ用品店に住んでるんじゃないかなーって思う。
淡々と日常を描くストーリーのせいもあるけど、
2人の役の研磨があったからこそ。

演出:★★★★☆
2013年の映画である。
ガラパゴス・ケータイや、虹色の花輪のオリンピックのポスター等、
その年号を隠さない演出が光ってた。
2013って、まだガラケーだったんだな。
そして年始の挨拶メールも機能しているのも・・・懐かしい。
今年はまぁ・・僕1人からしかこなかったな。挨拶メール。
僕がニートなのもあると思うんだけど。

あとタマ子の髪型・衣装が良かった。
初期のぼっさぼさの髪型からまさかのど・ボブ、そして終盤のお団子・・・。
季節ごとに変っててそこは見ていてなんとなく、をかし。
あと衣装・・・タマ子の胸元すれっすれののびたTシャツ・・・をかし。

以下・・・少し「うーん」と思った点を挙げるとすれば・・・・撮影期間か。
今作、多分1編1編それぞれ別の時期に撮ってるんだよね。
それが・・・・ちょっと残念。
なんというか、スパンが空いてるから全体的に演者の役作りが微妙に違ってきてる、気がする。
冒頭の「秋」と最後の「夏」を見て、同じ登場人物には・・・ちょっと思えない。
スパン詰めるか、
前作の映像をみんなで見てから撮影すべきだったんじゃないかな。

あと作中に出てくる中学生の写真撮影がなんか不自然なくらい上手いのが残念。
演者本人に撮らせてしまえばよかったんじゃないか。



以上である。
ストーリーが淡々としていたがニートの僕には阿鼻共感の嵐で、
演者も良かった。
タマ子の胸元も良かった。
そんな感じ。

ちなみに、
アイドルから女優を志す娘。
山ほどいるけど、生き残るのはどれほどだろうね。
僕が思うに、生き残る子、っていうのは「不細工に映るのを躊躇わない」っていうのがあると思う。
もしくは・・・「可愛い顔をどこまで捨てれるか」
演技力を磨く、っていうのもあるんだけど、
100%美少女の顔ではいくら演技がうまくたって、うまく見えない。
だってそんな美少女、観客の周りにはいない。
共感を得切れない。
近年の俳優にも言えることだと思うんだけど。

まぁ・・・整形を繰り返すアイドルには到底無理な業なんだと思うんだけどね。