小さなツナの缶詰。齧る。

サブカルクソ女って日本語、すごく好きだったよ。

都築響一『圏外編集者』×「東京グラフィティ #148」−一般人万歳。−


うおおおおおおお。
すっごいミスをした。
何をミスしたって、まぁここでは言えないのだけれども、その後悔をエネルギーに、
ついつい更新滞りがちなブログの記事を書いてしまおうと思う。

語り・都築響一『圏外編集者』(朝日出版社 2015年)、
「東京グラフィティ #148」(グラフィティ 2018年)
の話をさせて下さい。



語り・都築響一『圏外編集者』(朝日出版社 2015年)
【内容】
モデルでもない、芸能人でもない、一般人を特集した本。
作詞家でもない、詩人でもない、ラッパーの言葉を掲載した本。
日本のマジョリティーに迫る編集者・都築響一かく語りき。

【読むべき人】
・編集者
・編集者を志望する人
月曜から夜ふかしが好きでイモ類よろしく夜をふかしまくっちゃう人

【感想】※ネタバレなし
ぽへぇと「出版」のコーナー眺めていたら見つけた、堂々とした文字が並ぶ背表紙。
「圏外編集者」。
ぽへぽへぇと手に取ると、表紙にはなんかよく分かんないアヒルのロボとみたいなイラスト。
ぽへぽへぽへぇ。↑
僕はこれでも雑誌の編集者になりたくてだなぁ。だから前社もやめちゃったんだし。
ぽへぽへぽへぇ。↓
本を手に取りレジへ向かった。

まず、都築響一さんについて簡単に述べねばなるまい。
ゆうても僕もこの本手に取るまで知らなかったんだけれどもども。これしかまだ読んでないし。

フリーの編集者で、現在61歳。もとはマガジンハウス「POPEYE」⇒「BRUTUS」の出身。
編集した本がいわゆる「一般人」「現代を生きる人々」を取り扱ったものが多い。
例えば1980年代に刊行した現代アート全集『アート・ランダム』(全102巻)
東京の若者の部屋を撮影した『TOKYO STYLE』等等。
全て都築さん自身が足を運び、取材をし、写真を撮影した本であり、
芸能人ではなく多くの一般人側を題材にするまさしく「圏外」編集者なのである。
脚注:本書の巻末のプロフィールを見たよ
正直、僕この人知らなかったんだけど何で知らなかったんだ!!と衝撃を受けた。
日本テレビで絶賛放映中の月曜から夜ふかし」に出てくる変わった人・明るい人・楽しい人好きの僕は頭を抱えた。
テレビより何十年も前にこんなおもしろいことをしている人がいたなんて!!!

中身も非常に面白い。
「語り」とあるが、都築さんの語りを洗練した安易な文章に書いているためすらすら読める。
また、ところどころ扱う写真もほぼカラー。
都築さんが関わった本の表紙やらページやらおっぱいやらが色彩豊かに掲載されているので、正直彼の本を知らなかった僕でもすんなり本書に入っていけた。

印象的だった言葉はこれ。
国民の90%は金持ちでもないし、ずば抜けて容姿に優れてもいない。でも、メディアは残りの10%にしか目を向けようとしない。pp.90-91
彼の作る本の理念がすべて詰まっている、気がする。
はげたおじさんのコスプレ、写真と抽象的図形でつくる現代美術、幸福に満ちた若者の住まう6畳間、アートなおっぱい。
彼が扱う題材は決して芸能人ではないし、有名なものでもない。
道端にいるごく普通のおじさんのおしゃれ着や、無名の若者の作る芸術、夢を見アンガラ少ない収入で暮らす若者の部屋、おっぱい。
そして改めて思い知る。
ああ。一般人万歳なんだと。
別に朝ごはん:スムージー、午前:ズィム、お昼ご飯:なんか長いパンに挟まったオシャンティーなサンドイッチ、午後:チワワの散歩、おやつ:パンケーキエトセトラエトセトラ・・・。
じゃなくても僕等の生活万々やんと。
午前:寝る お昼ご飯:食パン 午後:アニメ 夜:スマホ 朝スマホエトセトラエトセトラ・・・。
一般人上等。好きなことできる。幸福じゃんか。
そんな当たり前のことを実感する。・・・え?さすがにダメ??うるさいぞー。

そして、
ヒップホップの歌詞だとか一般人の部屋の写真集だか無名のアートの画集だとかを
何故「編集者」の都築さんが作っているかというと、都築さん曰く。
専門家の怠慢。これに尽きる。専門家が動いてくれたらこっちは読者でいられるのに。p.161
つまり
詩の専門家(作詞家等)、写真の専門家(カメラマン等)、アートの専門家(学芸員、アート誌等)が扱わないから、
都築さんが扱ってそこで初めて本になる、と言っているのだ。
なるほどな、と思った。
有名人じゃなくたって、著名人じゃなくたって、残りの9割の人間から素晴らしいもの・面白いものは日々生まれ続けている。
専門家も僕達も「誰が」作ったかという主語に踊らされてないか。


また都築さんの姿勢は、ある意味芸能人ではなく一般人を終始題材にする「月曜から夜ふかし(若干この番組は一般人に敬意を払うのではなく【馬鹿にする】面も目立つが)に通じてるのかもしれない。
また、この番組が人気ということは、無意識に僕らは9割のクリエイティブさに惹かれているのかもしれない。

ちなみに。
残りの9割の人間で成立させる雑誌があることをご存じだろーか。
「東京グラフィティ 2018年2月号」(グラフィティ 2018年)の話を追加でさせて下さい。




【内容】

大人が好きな本・映画・カルチャーを題して、
某アニメ監督やナチュラルモデル、歌手、事業家、コピーライター等様々な「大人」が影響を受けたものを特集。
タイムスリップ写真館では「派手に成長した編」を掲載。

【読むべき人】

月曜から夜ふかしが好きな人
・たまにネットでみる「10年後」「20年後」の写真が好きな人
サブカルクソ女

【感想】
本誌は終始・・・とまではにかないが一般人を多く取り扱った雑誌。
例えば一般人の童貞の脱・童貞時の夢、とか、一般人の恋人同士のピンク体験誌、とか
最近雑誌で見そう・・・で見ないスナップとかとか。
「どうでもいい」人はどうでもいいんだけれども、
「なんか気になる」人は目を輝かせて読んじゃうそんな雑誌。
そして「月曜から夜ふかし」が人気ならば後者の人の方が多いのではないか。

特にタイムスリップ写真館」は見もの。
一般人を扱った「10年後」「20年後」の写真を画像ではなく、紙で見るとまた味わいもひとしお。
なるべく似た服を着ていたり、ポジションも表情も当時に寄せたりと一枚一枚凝っている。
ついつい、彼等のその10年間・20年間に思いを馳せてしまう。
そんなコーナーだ。
ちなみに今号は「派手に成長しました」と唄っているように、本当に派手でいろいろすごい。いや。まじで。

今回のメインの特集も「ふむふむ」と思うものばかり。
あの人はああいうもの読んでこーなったのか、どういう本・映画・曲なんだろう、とかとかTSUTAYA駆け込み必至。
ちなみに、後半に出てくる一般人のお年寄りとミニシアターの支配人へのインタビューも見もの。
映画・本・漫画等等に人々が惹かれるのは、今も昔も変わらない。



お値段は480円奇数月刊行(ちょっと前まで毎月だったんだけどね・・・)。
僕はメインで買ってる雑誌があるうえで、「サブ」で買うことが多いのだけれども、
毎月飼ってる雑誌に物足りなさを感じたら、本誌を取ることを薦めたい。
割と取り扱ってる本屋は多いよ。

 

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20200608一部修正しました。冒頭で「失敗した」言ってるけど、何に失敗したのか思い出せそうで思い出せない。この頃は記事の文章のテンション高くていいですね。

20200731タイトル変更しました。